車の底面を縁石でガリガリと擦ってしまった!どんな故障が発生するか解説!

「車の底をガリガリっと擦ってしまったので、チェックしてほしい」という依頼は頻繁に受けます。

整備士である私も、若い頃は何回か底面をこすってしまったものです。

単に底を覗いてみても、素人目には異常が確認できないため、底面がこすれると気になりますよね。

自動車の底がこすれた場合、大半は車の前半分に損傷が見られます。

 

主な損傷箇所には、

・サスペンションメンバー

・ロアアーム

・エンジン

・ミッション

・フロア

などです。

 

実はこすった感触や状況から、どの部位が損傷したかを特定するのは難しいです。

従って、整備士による底面の目視検査が必要になります。

この記事では「底面をこすった際にどのようなトラブルが生じうるか?」についてお話します。

 

車底が損傷したらどんな問題が発生するか?

例えばコンビニの駐車場入り口のような、僅かに傾斜がある場所でフロントバンパーをこすった程度なら、大きな問題はないでしょう。

しかし、塗装が剥がれて鉄の表面が露出している可能性もあり、防錆処理(塗装)を施すことをお勧めします。

放置すれば錆が拡大するので、早めの対策が重要です。

では、底面を覗いたら液体の漏れや、運転中に異常を感じるなど、何らかの異常が見られる場合はどのように対処すればいいのでしょうか?

 

オイル漏れはオイルパン損傷の可能性

底面を調べた際に液体が滴っている場合は、オイルパン(エンジンオイルを溜めておく場所)が損傷し、オイル漏れが発生している可能性があります。

オイル漏れを見過ごして運転を続けると、潤滑不足や異物の混入によりエンジンやミッションが故障することもあります。

この場合、修理費用は数十万円に上ることがあります。

しかし現場で直ちにレッカー車を呼び、整備工場へ搬送すれば、オイルパンの交換だけで済む場合もあります。

オイルパンの交換費用は、約2万円前後となります。

 

真っすぐ走らなくなる

車を運転している際に「直進性に問題がある」などの異常を感じたら、速やかに車を停めて整備工場へレッカー車で運んでください。

特にサスペンションメンバーや、ロアアームの損傷や変形が疑われます。

サスペンションメンバーは、車体とタイヤを結ぶ重要な構成部品で、衝撃吸収や車体支持の役割を果たします。

ロアアームはタイヤの上下動を支える部品であり、車の走行安定性に大きく寄与します。

これらが損傷すると、運転の安全性に重大な影響を及ぼし、場合によっては事故につながる恐れもあります。

ロアアームの修理費用は、片方の交換で約3万円。

サスペンションメンバーの場合は10万円前後になることもあり、修理費用は損傷の程度によりますが、高額になることもあります。

 

ホイールアライメントがズレる

例えば縁石に乗り上げた際、ホイールアライメントのズレが発生することがあります。

アライメントは、車の直進性や安定性を保つために重要な設定です。

ズレが生じると車は正しく直進せず、運転中に不具合を引き起こすリスクがあります。

 

アライメントのズレは、車をゆっくり走らせることで確認可能です。

車が一方向に偏って走る場合、アライメントの調整が必要です。

ズレが続くと以下の問題が生じやすくなります。

・直進が困難になる

・ハンドリングに異常が発生

・タイヤの偏摩耗が進み、寿命が短くなる

・曲がり角でのグリップ力低下

・無駄な抵抗が増え、燃費の悪化

 

これらは車の性能低下や、事故リスクの増大につながります。

アライメントのズレを感じたら、直ちに安全な場所に停車し、レッカー車を呼んで専門家に診てもらうべきです。

アライメントの調整は専門的な作業であり、カー用品店やディーラーに依頼するのが一般的です。

調整作業では、トー角、キャンバー角、キャスター角の測定と調整を行います。

これらの角度を適切に設定することで、車の走行性能を正常に戻すことが可能です。

 

ハイブリッドや電気自動車はリスク増加

ハイブリッド車や電気自動車では、トランクエリアに高電圧のバッテリーを配置し、エンジンルームにはモーターやインバーターを搭載している車種が多くあります。

これらの車両では、バッテリーからエンジンルームにかけて、高電圧ケーブルが車両の底面を通っています。

ここが擦れることによる漏電や、修理費用の高騰というリスクが考えられます。

ただし漏電の発生時には電気が自動的に遮断される設計になっています。

 

感電するリスクがある

インターネット上では、「ハイブリッド車の事故で感電事故が起きた例はない」との報告もあります。

しかしメーカー側では、「高電圧システムが完全に停止していない限り感電のリスクが存在する」と警告しています。

車が停止しても、高電圧システムが10分程度は電圧を維持することがあります。

レッカーや整備関係者の間では、「ハイブリッド車の事故車を取り扱う際には、耐電手袋や耐電靴を着用する」などの指導がなされています。

感電リスクを完全に否定はできないため、不用意に触れることは避けるべきです。

 

また、事故で人が車内に閉じ込められている場合は、高電圧ケーブル(オレンジ色の被膜で覆われている)には触れないよう注意が必要です。

特にハイブリッド車や電気自動車の底面にある高電圧ケーブルを擦った場合、人命に直接関わる状況でなければ、運転を控え、専門家に診てもらうことが賢明です。

 

まとめ:見た目に異常がなくてもチェックする

今回は「車の底面を擦った際の様々なトラブルとその対応」について解説しました。

車の底面を擦ること自体は、軽微なバンパーの擦れなど問題ないケースもあります。

しかし、縁石に乗り上げるなどして底面を擦った場合、見た目に問題がなくても安全性に関わる重要な問題を見逃す危険があります。

液体の漏れや直進性の問題など、何らかの異常を感じた場合は、高額な修理や事故につながる可能性もあります。

速やかに専門の整備工場でのチェックを推奨します。

特にハイブリッド車や電気自動車では、感電のリスクも考慮に入れ、異常を感じたら即座に専門家の対応を求めるべきです。

 

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Posted by ちたま