アートアクアリウムの金魚への影響は?ストレスや虐待でかわいそうなのかの考察

2020年8月27日

前回は、アートアクアリウムに展示されている金魚たちの「その後」について調べてみました。

その時に、ちょっと気になったことがあったんです。

「金魚がかわいそう」

こんな書き込みをたくさん見かけました。

 

今回は、この辺りについて調べてみます。

アートアクアリウムの金魚への影響の具体例

まずは、その「気になった声」を紹介します。

 

 

その他、

・ひとつの水槽に金魚をたくさん詰め込みすぎてかわいそう

・常にライトを照らされていてストレスが凄そう

・水がキレイ過ぎて水質が心配

などなど。

 

というわけで、これらの金魚への影響について調べてみます。

 

水槽への金魚の数が多すぎる「過密飼育」による悪影響

一番多かったのが「過密飼育」。

つまり「ひとつの水槽に、金魚の数を入れ過ぎているのでは?」という疑問の声です。

実際に金魚を大切に飼育しているからみれば、アートアクアリウムの水槽はどうしても「入れすぎ」に見えるのです。

 

 

さすがにこれは、ちょっと水槽に入れ過ぎかなと僕も思います。

人間だって満員電車に乗ると、かなりのストレスを感じますよね?

金魚だって同じだと思うのです。

やはりひとつの水槽に詰め込み過ぎると、金魚にとってかなりの負担なりますよね。

 

ではどれぐらいが適切な数かと言うと、ホームセンターで売っている30センチぐらいの水槽。

通称「Sサイズ」と言われているだけあって、ちょっと小さめの水槽です。

 

このサイズの水槽なら、体長5センチの金魚なら約3匹が理想です。

思っていたより少ないですよね。

もちろん多少の飼育数が増えても問題はありませんが、アートアクアリウムの水槽はどうしても過密飼育に見えてしまいます。

過密飼育による金魚への悪影響は、酸素不足や水質の悪化、また金魚同士がぶつかってケガをする原因になりかねません。

 

透明な水槽とライトアップによる金魚へのストレス

アートアクアリウムの水槽って、とてもキレイですよね。

やはり、あのライトアップの仕方の表現が良いと思います。

でも、金魚にとってあの光はどうなんでしょうか?

 

実は金魚って、とても臆病な生き物なんです。

見た目は僕みたいに鈍そう?ですが、人の気配があるとすぐに物陰に隠れたりします。

これは、室内のキレイな水槽で飼育しているとなかなか分かりません。

でも、珪藻(けいそう)を含んだ”グリーンウォーター”で飼育していると、人の気配があると水面になかなか姿を表さないこともあるぐらいです。

 

こう考えるとアートアクアリウムの金魚は、ほぼ360度透明な水槽に入れられています。

しかも常にライトアップされ、大勢の人に1日中見られています。

これは金魚にとって、すごいストレスですよね・・・。

 

せめて少し身を隠すものを一緒に入れてあれば良いのですが、芸術である”アート”を優先しているので仕方がないのでしょうか?

この辺りが、水族館との違いだと思います。

 

キレイ過ぎる水は金魚にとって悪い環境

アートアクアリウムの水槽がキレイなのは、中に入っている水もキレイだからです。

とても透明度が高いですよね。

 

実は魚にとってキレイ過ぎる水は、とても厳しい環境になってしまうのです。

さすがにカルキ抜きぐらいはしていると思いますが、金魚にとっては、先程も書いた”グリーンウォーター”ぐらいがちょうど良い環境なのです。

 

この水が緑や青っぽくなる正体は、植物性のプランクトン。

植物性プランクトンは、ミネラルやビタミン・タンパク質が豊富に含まれているので、雑食性の金魚にはもってこいのエサになります。

実際、”グリーンウォーター”で飼育している金魚やメダカのほうが、調子が良いって聞きますからね。

 

でもアートアクアリウムの水槽のように、キレイ過ぎる水だと植物プランクトンはほぼ皆無でしょう。

アートとしてはキレイなんですけどね。

まあ”グリーンウォーター”だと、見た目が良くないという理由は分かりますが・・・。

キレイな消毒された水が良いと思うのは、僕たち人間を基準にした考えなんです。

 

金魚を飼ったことがある人は虐待でかわいそうと感じる

また、今回調べていて「虐待」っていう言葉を何度か目にしました。

虐待って「動物虐待」っていうぐらいですから、犬や猫などを思い浮かべると思います。

 

僕も初めは、魚類である金魚に「虐待」って、ちょっと言葉の違和感を感じました。

でも同じ生き物なので、確かにこういった過密飼育やストレスのある環境下での展示は「金魚虐待」と言えるのかもしれません。

特に金魚など魚類を飼ったことのある人は、アートアクアリウムの水槽を見ると「金魚がかわいそう、虐待だ」って感じるようです。

 

このように「金魚がかわいそう」という意見が目立ちます。

でも反対に、こんな意見もあったので紹介します。

 

 

 

そうなんですよね…。

「動物虐待」は金魚だけの問題ではないので、アートアクアリウム展だけを切り取って非難するのは、僕は少し違うのかなと思います。

 

魚類である金魚は動物愛護法の対象外

「いくらアートとは言え、金魚をこんな扱いしたら動物虐待だ!」

と思う人もいるかもしれません。

 

動物虐待と言えば、それを防ぐ(禁止)する法律が「動物愛護法」。

アートアクアリウム美術館のような金魚を飼育するやり方は、この動物愛護法に違反しないのでしょうか?

実は、魚類である金魚は動物愛護法の対象外なんです。

 

この動物愛護法をザックリ簡単に説明すると…

・対象となる動物は、主に犬・猫などのペットや牛・豚などの家畜

・哺乳類や鳥類、爬虫類が主な対象動物

・上記の肺呼吸の動物は愛護の対象だが、エラ呼吸の両生類や魚類は対象外

になっています。

 

つまり魚類である金魚は、動物愛護法の対象外ってことですね。

同じ「動物」でも、犬猫や牛・豚は保護になりますが、魚は保護する対象ではない…。

僕は、今回調べてこの内容を初めて知ったんですが、ちょっと考えさせられましたね。

みなさんはどう思いますか?

 

【結論】アートアクアリウム展が金魚の虐待になるのかどうかの判断は難しい

この辺は、本当に難しい問題です。

動物園や水族館だって、野生の生き物を捕まえて来ているので「虐待」と思う人もいるでしょう。

展示してお金を取っている点は、アートアクアリウムと同じです。

 

動物愛護法で、哺乳類はダメで魚類は対象外だから…?

でもしょせん動物愛護法も人間が決めた法律ですからね。

魚類にとっては、いい迷惑かも知れません。

 

こんなこと言いだしたら、ゴ○ブリも退治できなくなりますけど・・・。

害虫って言っても、人間を基準とした「害」なだけで、彼らは必死に生きているだけなので・・・。

 

また、そもそも金魚自体が人間が作り出した「見世物」なんです。

金魚って、フナから品種改良で作り出したものなんですよ。

だから「野生」という概念がない。

お金儲けのために、わざわざ奇形な品種などを作り出していることも事実です。

 

ちなみに国名を忘れましたけど、金魚を金魚鉢で飼うと犯罪になるっていう国もあります。(狭いから)

そう言えば、街路樹にLEDでライトアップするのは、樹木がかわいそうっていう真面目な意見もありました。

確かに植物も生き物です。う~ん・・・。

 

こう考えると「虐待」ってなんなんでしょう?

線引が難しいですよね・・・。

線引したらいけないのかも?

これは意見が分かれますし、どちらが正解とか間違っているとかは答えが出ないですね。