古紙回収業者は儲かるのか?個人事業主の経験談から解説!

今回は、個人事業主としての古紙回収業は儲かるのか?について、自営業で10年やっていた僕の経験からお話します。

古紙回収業とは、段ボールや新聞・雑誌を集めて古紙問屋さんに売りに行く(買い取りしてもらう)ことですね。

もし、あなたが今から古紙回収業を始めようとしているなら、きっとこれから書く僕のお話が役に立つと思いますよ。

 

【先に結論】

古紙回収業は今の時代は儲からないので、新規参入ではやめた方がいいです。

 

個人事業としての古紙回収は今は儲からない

僕は、10年間ほど個人事業主として古紙回収業をやって来ましたが、結論から先に言うと古紙回収業はやめた方が良いです。

もう今の時代には合わないので、儲かる仕事ではありません。

相続などで事業継承などならまだしも、これから新規で始めようとしている方は、もう一度よく考え直すことをお勧めします。

古紙回収業が儲からない理由を、順番に説明して行きますね。

 

デジタル化で紙の需要は低下している

今は、デジタル化がどんどん進んでいます。

雑誌なんかが良い例で、ほとんど電子化されていますよね。

つまり、それだけ古雑誌の流通量が減っているわけです。

 

新聞はと言うと、こちらも購読者数が年々減っています。

今の若い人たちって、新聞読まないですよね。

新聞を読んでいるのは、お年寄り世代が中心です。

テレビですら衰退しているわけですから、新聞の需要はこれからもっと減ることでしょう。

スマホがあれば充分です。

 

段ボールだけは、Amazonなどの宅配サービスにより需要は安定しています。

今のところ、段ボールに変わるモノは出て来なさそうなので(デジタル化されない)、新聞や雑誌に比べれば、まだ将来性がある古紙と言えます。

 

ただ古紙全体で見れば、紙はどんどん衰退していく物です。

古紙回収業にとっては、これは死活問題になります。

こんな将来性のないものに、わざわざ今から新規で参入するメリットはないです。

 

中国の古紙輸入禁止で供給過多に

実は、古紙は中国へ輸出されていました。

しかし、数年前から中国が古紙の輸入を禁止したことで、古紙の流通が滞り供給過多な状態になったのです。

こうなると当然、古紙の買い取り価格は下がります。

 

昔の中国って、品質の悪い古紙でもどんどん買い取ってくれていましたが、年々厳しくなり今は輸入禁止に…。※古紙だけでなく廃プラもです。

となると、日本国内でリサイクルするわけですが、国内の製紙メーカーって品質にうるさいんですよ。

ちょっとでも品種の違うものが混ざると、返品されたり買い取ってくれません。

つまり古紙を集める事業者も、色々と選別したりで手間が掛かってメンドクサイんです。

 

古紙なんて単価の安いものですから、数(量)こなしてナンボです。

それなのに選別していては時間が掛かってしまい事業としては効率が悪くなってしまうのです。

ここ数年で、本当に古紙に対する品質は厳しくなったと感じます。

 

アパッチに古新聞を盗まれる

ニュースなどで見たことがあると思いますが、地域で出される古紙を盗んでいくドロボーがいます。

古紙の持ち去りをするヤツを業界では”アパッチ”と呼び、古新聞だけを盗んで行き古紙問屋さんに売りに行くのです。

 

なぜ新聞だけかと言うと、段ボールの方が買い取り価格は高いですが、段ボールはかさばるので効率が悪いからです。(車にたくさん積めない)

雑誌は買い取り値が安いので、割に合いません。

だから奴らは、新聞だけを盗んで行くのです。

 

古紙回収業者としては、GPSを付けたり見張りを立てたりと対策をしていますが、一向に被害がなくならないのが現状。

アパッチに盗まれると売上がそれだけなくなるわけですから、古紙回収業者としては死活問題です。

 

ライバル会社が多く価格競争が激しい

アパッチもある意味”ライバル”ですが、古紙回収業界は仕事の取り合いです。

ライバルがひしめいています。

大手の古紙問屋さんの間でも、常に顧客の取り合いや価格競争が起こっています。

 

とてもじゃないですが、こんな状況下で個人事業では勝ち目はありません。

ましてや、新規参入では到底ムリ。

儲けなしの採算度外視でやる覚悟があれば別でしょうが、そもそも将来性のない古紙に、そこまでする必要があるのか疑問です。

価格競争は利益を圧迫するので、体力のない個人事業主は真っ先に経営が行き詰ります。

 

トラック1台あればすぐに開業できる

個人事業主で、古紙回収業を営んでいる人はたくさんいます。

他の業種に比べて、比較的カンタンに誰でも開業できるからです。

運転免許とトラックが1台あればよく、事務所を借りたり設備投資する必要がありません。

そのため古紙回収業は、個人事業レベルでもライバルが多数いるのです。

 

古紙回収業には産廃の許可は不要

古紙を集めるのに産廃の許可が必要では?と思うかもしれませんが、実は古紙回収業には産廃の許可は不要なのです。

古紙・鉄くず・空きビン・古着は、専ら物(もっぱらぶつ)と呼ばれ、特別に産廃の収集運搬の許可なしで扱うことができます。

これも、個人事業が参入しやすい(ライバルが多い)原因のひとつです。

 

塵芥車の維持費が高すぎて儲からない

僕が古紙回収業が一番儲からないと思ったのは、このトラックの維持費が掛かり過ぎる!という点です。

ゴミ収集車って知ってますよね?

あの、ウィーン…ガチャーン!って潰して回収して行くトラックです。

業界では、ゴミ収集車のことをパッカー車と呼び、法律用語では塵芥車(じんかいしゃ)と言います。

 

塵芥車は主に段ボール回収に使われますが、これがまた維持費が高いのなんの…。

全然、割に合いません。

その理由を順に解説します。

 

特殊車両は本体価格が高額

まずは、塵芥車の本体価格。

塵芥車は特殊車両に分類されますので、8ナンバーになります。

税金は安いので助かりますが、「特殊」なので本体価格が他のトラックに比べて高額です。

㎥(リューベ数)が大きくなるほどたくさん積めますが、それに比例して価格も高くなります。

 

有名な架装メーカーは極東と新明和ですが、4トンの塵芥車なら新車で500万~1000万円ぐらいします。

シャーシは一般的な価格ですが、架装物(後ろの箱の部分)が高いんです。

重さも計れる計量器まで付けると、1000万コースですね。

同じ4トンの平ボディ(平車)と比べれば、いかに塵芥車が高額かが分かると思います。

 

特殊車両につき修理代が高額

この塵芥車ですが、よく壊れます。

本当によく壊れます。

その理由は段ボールを無理やり圧縮するので、それが負担となってシリンダーのひび割れやオイル漏れにつながるからです。

だいたい、4トンの塵芥車なら段ボールを2トン~2.5トンぐらい積めますが、あれだけ反発力が強い段ボールを無理やり潰すので、かなりボディに負担がかかり壊れるのです。

 

で、修理は日野やいすゞではなく、架装メーカーの極東や新明和に出すのですが、これがまた高いのなんの…。

ちょっと修理するだけで、5~10万ぐらいは普通にかかります。

僕は、20~30万の修理も何度かやりました。

これだけの金額を修理すればその月は赤字確定ですが、直さないと仕事ができないのでローン組んでまで修理したこともあります…。

 

しかも1か所直してもまた別の場所からオイル漏れ…ひび割れ…ってなります。

正直、「やってらんない」って気分になりますよ。

特殊車両は本体価格も高いですが、壊れた時の修理代も高額になるのです。

※架装物のメーカー保証は1年です。

 

ちなみにですが、段ボール回収の塵芥車は、圧縮によるひび割れなどの故障がよく起こります。

ビニールを塵芥車で回収する業者さんもいますが、ビニールを圧縮すると熱で溶けたビニールがシリンダーの隙間から入り込み、シリンダー内で悪さをするトラブルがよく起こります。(オイルの循環不良)

可燃ごみは毎日水洗いをするので、すぐにサビでやられます。

造園屋さんも塵芥車を使いますが、こちらも堅い樹木を潰すのでひび割れなどが起こりやすいです。

平車やウイング車などに比べて、特殊車両の塵芥車は壊れやすいということをお伝えしておきます。

 

空車でも車重が重いので故障しやすい

塵芥車の後ろの架装物の「箱」ですが、あれは鉄の塊です。

あの箱だけで、重さがなんと2トン~2.5トンぐらいもあります。

そのため荷物が空の空車状態でも、車両総重量が6トン前後になるのです。

 

車重が重いとどうなるか?

それは、様々なデメリットが生じます。

 

まずは、車体が重たいので燃費が悪くなります。

そしてクラッチに負荷が掛かりやすく、寿命を縮めます。

タイヤや、ブレーキのライニングも早く減りますね。

 

歩道の段差などの振動もよく拾い、これは板バネの寿命を縮めることになります。

板バネは折れたままだと車検が通らず、しかも交換するとかなりの高額です。

その他、車体の重心も高くなるので運転に気を遣います。

特にカーブは注意が必要です。

 

と言うように、車重が重たくて良いことは何もありません。

塵芥車は「常に2トンの鉄の箱を背負っている」と思って下さい。

 

エンジン掛けっぱなしで燃費が極悪

塵芥車は、燃費が極悪です。

車重が重たいと燃費が悪くなりますが、実は他にも理由があるのです。

 

塵芥車のあの”ウィーン…ガチャーン”は、どうやって動かしていると思いますか?

あれはエンジンの動力を使って、オイル(作動油)の力により動作させているのです。

つまり塵芥車は、段ボール回収中もエンジンは掛けっぱなしになります。

掛けっぱなしと言っても、アイドリングではありません。

1,500回転ぐらいまで(自動で)吹かしますので、かなりの燃料を消費しているのです。

 

結果として、メチャクチャ燃費が悪いのです。

軽油は昔は70円とかでしたが、今ってかなり高いですよね…。

これから先、安くなるとも思えませんし。

これが、古紙回収業が儲からない原因のひとつでもあります。

 

挟まれると死亡事故につながる

これは儲かないとは別の話ですが、塵芥車は実はかなりの危険な作業です。

手とか足などを挟まれる事故が、年に何件か起きています。

過去には、塵芥車に挟まれて死亡する事故も…。

 

作業するのに特別な資格は必要ありませんが、段ボールなどを投入する時に誤って手や足を挟まれてしまうんですね…。

本当にこれは怖いです。

僕も、何度かヒヤッとした経験があります。

生きててヨカッタ。

 

平車は段ボール回収に向いていない

「そもそも、そんなコスパの悪い塵芥車ではなく、平車で古紙回収すれば?」

って思うかもしれませんが、平車は平車でデメリットがあります。

 

平車は新聞や雑誌の回収に向いていますが、先述の通り年々紙の需要は減って来ていますので、昔ほどたくさん排出されません。

また、古紙回収を引き受ける際「新聞と雑誌だけ回収して、段ボールは回収しない」とはいかないのです。

段ボールもセットで回収しますので、平車にまとめて積んで来ることになります。

 

で、平車で段ボールを積むのって、かなりの手間がかかります。

そのまま投げ入れるだけでは、かさ張って全然積めないので、うまく縦にしたり箱を潰したりして積んで行きます。

それでも、塵芥車に比べれば全然積めません。

もし積みきれなければ、一度古紙問屋さんに降ろしに行って2回戦目を走ることになります。

時間も燃料もムダですよね。

 

しかも、塵芥車は投げ入れるだけの楽チン作業ですが、平車に積むのはかなりの重労働です。

2メートルぐらいのアオリの高さに投げ入れて、そして荷台に上がって積み荷を整理する…。

これが、かなりハードなんです。

ハッキリ言って、夏場は死にます。

 

平車は塵芥車に比べて軽量で壊れにくく、本体価格も安いです。

しかしその分、自分に負担がかかります。

個人事業主として、このハードな仕事を60歳すぎてもやり続けられますか?

僕は、将来が見えないので辞めました。

 

【結論】古紙回収業は時代遅れで儲からない

細かいことを上げればまだまだありますが、今の時代、古紙回収業は儲かりません。

デジタル化が進んでいる中、紙は時代遅れです。

 

簡単に今回の話をまとめると…

・古紙は将来性がない割に、ライバル会社が多い。

・古紙の需要は減りつつあり、買い取り単価が安い。

・塵芥車は、尋常なくお金がかかる。

です。

 

相続などで既存のお客さんがいるのなら、そのまま引き継いでやるのもいいと思います。

でも、新規参入でこれからやるのは、僕はお勧めしません。

とてもじゃないですが、個人では儲からないからです。

 

古紙は単価が安いですから、お客さん1件あたり大量に集めないと割に合いません。

何か所も回って少しずつ集めていては、とてもじゃないですが儲けなんて出ないです。

かと言って、大口のお客さんはすでに大手の古紙回収業者に取られています。

個人では、大手に単価で勝てません。

こんな状況下で個人での新規参入は、ハッキリ言って無謀です。

 

さらに従業員を雇うとなると、なおさら経営が難しくなります。

自分だけの「一人親方」でも儲からないのに、人を使ってやるのはほぼ赤字確定。

というか、今の若い人たちは中型免許を持っていないので、そもそも面接に来ません。

来るのは、中年以上のオジサンか外国人です。

古紙回収で働くぐらいなら、まだブラックな運送屋に就職した方がマシだと思います。

 

また、古紙回収業をするぐらいなら、まだ単価の高い鉄くずを集めた方がいいかもしれません。

ただこの場合、ユニック車などが必要になります。

一般ごみや事業ごみの回収もありますが、産廃の許可が必要なことと、今はなかなか新規で仕事がもらえません。

ちなみに可燃ごみの回収だと、塵芥車は中型ではなく大型車を使うことが多いです。

以上が、僕の経験からによる「古紙回収業は儲からない」お話です。

 

ついでなので、

・子供会などの古紙回収は儲かるのか?

・一般人が古紙回収しても儲かるのか?

・古紙回収ボックスは儲かるのか?

の解説もします。

 

子供会などの古紙回収には補助金が出る

子供会など、地域で古紙回収をやっているコミュニティありますよね。

古紙を売ったお金を活動資金に充てています。

これは儲かる(?)のか?と言われれば、やる価値はあると思います。

それは、各自治体から補助金が出るからです。

 

古紙を集めた場合、そのまま自分たちで古紙問屋さんに持ち込めば、「持ち込み価格」で買い取ってくれます。

しかし、古紙問屋さんに取りに来てもらう場合は引き取り料がかかりますので、持ち込み価格よりも数円安くなります。

可能なら、持ち込んだ方が高く売れるのです。

 

とは言っても、子供会などで集まる古紙はせいぜい2~3トンぐらい。

金額にして1~2万円ほどです。

 

「これだけのためにやる意味あるの?」

と思うかもしれませんが、実はこの集めた「2~3トン」の重さに対して、自治体から「1kgあたり〇円」の補助金が出るのです。

この補助金が、結構儲かる(?)んですね。

自治体の中には、1kgあたり7円とか出る所もあります。

 

このように、いくら古紙問屋さんの買い取り価格が安くても自治体からの補助金ももらえるので、子供会などが古紙回収をやる価値は十分あると言えます。

雑誌などは買い取り値が安いので、補助金の方が単価が高いこともありますよ。

※補助金は各自治体により、条件や金額が異なります。

 

一般人の古紙回収は全く儲からない

次に、一般人が古紙を集めて売りに行ったら儲かるのか?ですが、これは儲からないのでやめた方がいいです。

「小遣い稼ぎで、ちょっと古紙を集めて売ろう」

という考えもありますが、古紙の買取価格って一番高いダンボールでも1キロ10円もしません。

雑誌なんかは、酷い時は逆有償っていう時代もありました。(買い取りではなく、逆に処分料を取られる)

 

一般人が古紙を集めても、車に積めるのはせいぜい数十キロですよね?

これを古紙問屋さんに持ち込むわけですが、ガソリン代の方が高く付きますよ。

仮に儲けが出ても、時給換算すると…。

 

記事中でも書きましたが、古紙は単価が安いのでなるべく件数少なく、かつ大量に集めないと儲けになりません。

何か所も回って少しずつ集めていては、全然儲けにならないのです。

古紙問屋さんのメインのお客さんは、数百キロ単位で古紙を排出するスーパーや企業などです。

数キロ~数十キロの個人のお客さんは、ほとんど相手にしてくれません。

持ち込めば無料で処分こそしてくれますが、わずかな数量で「買い取ってくれ!」というのは、正直「メンドクサイ」と思われます。

 

古紙回収ボックスは場所により儲かる

今は街の至る所で、古紙回収ボックスを見かけますよね。

あれって、儲かるのでしょうか?

空き地を遊ばせておくぐらいなら、土地活用として回収ボックスを置くのはアリだと思います。

ボックス自体は古紙問屋さんが無料で設置してくれますし、もちろん回収もやってくれます。

ゴミなどを投げ込まれても、一緒に回収してくれます。※契約内容によります。

 

持ち込みではなく回収なので買い取り価格は期待できませんが、自分は何もしなくても勝手にお金が入って来るので、土地活用としてはアリだと思います。

もちろん一定以上の人通りがあるなど設置場所の条件はあります。

空き地を放置しておくぐらいなら、古紙回収ボックスを考えてはどうでしょうか?

 

尚、スーパーなど商業施設に設置する回収ボックスは、

「古紙を捨てるついでに、買い物もしておこう」

という来店動機にもつながるので、こちらもおすすめできます。

 

以上になりますが、やはり僕の総論としては「古紙は儲からない」です。






古紙回収

Posted by ちたま