高速道路へ自転車で侵入した時の罰則とは?違反して立ち入るとどうなるのか解説!

2020年10月22日

先日、高速道路でトラックが自転車に追突したと言う事故があり、そのトラックの運転手が逮捕されるというニュースがありました。

 

これに対して、世間からは

・自転車が悪いだろ!

・トラックの運ちゃんの逮捕はやり過ぎ!

・法律を改正しろ!

などの意見が飛び交い注目されています。

また最近では、ウーバーイーツの配達員が自転車で首都高を走っている姿が目撃され、こちらも世間から非難を浴びています。

 

僕がここで気になったのは・・・

もし自転車で高速道路へ侵入したら、どんな罰則になるのか?

と言うことです。

今回は、この「自転車で高速を走ったらどうなるのか?」について調べてみました。

 

【先に結論】

・自転車で高速道路へ侵入することは禁止されており、違反すると罰金刑や懲役刑になります。

 

自転車で高速道路へ侵入するのはもちろん法律違反になる

↑これは故意犯で悪質。

 

まず、初めにここからです。

当たり前ですけど、自転車で高速道路へ侵入するのは違反です。法律で禁止されています。

車を運転する人なら見たことあると思いますが、高速道路の入口付近に「自転車や歩行者・125cc以下の2輪車は入れません」の看板や標識が立っているからです。

 

 

また調べてみたところ、規制している法律が2つありましたので、違反した時の罰則と合わせて紹介します。

※僕は、法律の専門家ではありません。

興味がある人は、弁護士さんに直接聞いて下さいね。

って言うか、自転車で高速を走るのは危ないからマジでヤメロ!

 

高速自動車国道法では自動車以外での侵入を禁止している

高速自動車国道法って聞いたことありますか?

昭和32年に作られたようですが、こんな法律があるんですね。

その17条にこう書いてあります。

 

(出入の制限等)

第一七条 何人もみだりに高速自動車国道に立ち入り、又は高速自動車国道を自動車による以外の方法により通行してはならない。

 

「自動車以外で通行するな!」ってハッキリと書いてあります。

道路交通法で言う「自動車」とは、カンタンに言うと4輪の車と125㏄超の2輪車。

つまり、自転車は「自動車」ではありませんので、高速道路への侵入は禁止されているわけですね。

道路交通法(法律上)では、自転車は「軽車両」に分類されています。

※道路運送車両法とかもありますが、ややこしくなるのでここでは割愛します。

 

ちなみにピンクナンバーの原付2種も排気量が125㏄なので、自転車と同じく高速道路を走ることはできません。

原付の正式名称は、原動機付き自転車って言いますからね。

 

高速自動車国道に自転車で侵入すると罰金50万円の違反になる

じゃ、自転車で高速道路へ侵入したらどうなるんでしょうか?

これも、この高速自動車国道法に書いてありました。

 

(違反行為に対する措置)

第一八条 国土交通大臣は、前条第一項の規定に違反している者に対し、行為の中止その他交通の危険防止のための必要な措置をすることを命ずることができる。

 

第四章 罰 則

第三〇条 第十八条の規定による国土交通大臣の命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第十九条第一項の規定により道路監理員がした第十八条の命令に違反した者についても、同様とする。

 

カンタンに要約すると、自転車で高速へ侵入した人に対して、国土交通大臣や道路監視員は「やめなさい!」とか命令などでき、これに違反したものは50万円以下の罰金にします、ってことです。

高速道路に侵入したら即罰金になるのではなく、命令に違反したら罰金と言う意味ですね。

 

また、同じく罰則を規定する第26条にはこう書いてあります。

第二十六条 高速自動車国道を損壊し、若しくは高速自動車国道の附属物を移転し、若しくは損壊して高速自動車国道の効用を害し、又は高速自動車国道における交通に危険を生じさせた者は、五年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。

これは自動車に限らず、自転車で侵入して高速道路の交通を混乱させても処罰の対象になります。

こっちは、罰金が200万円にアップしている他、5年以下の懲役と結構罪が重たいです。

 

つまり、ここまでをまとめると…

高速道路に自転車で侵入した場合、すぐに命令に従って高速道路から出て行けばとりあえず(?)セーフ。

しかし、走っている車など交通に危険を与えると、最悪ムショ行きになる可能性もあるってことです。

 

首都高や阪神高速は自動車専用道路であり高速自動車国道ではない

話は、まだ終わりません。

ふと思ったんですが、高速と言えば有料道路のイメージですが、バイパスとかの自動車専用道路もあります。

自動車専用道路も、高速道路と同じく自転車は走れませんよね。

入口に例の「自転車や歩行者は通行できません」の標識が立っています。

↑上の青い自動車の標識自体が、「自動車専用道路」を表しています。

赤矢印が右を向いているので、「ここからこの区間が始まる」という意味です。

 

で、じゃ法律で言う高速道路とは?って疑問に思い、グーグル先生に先ほどの「高速自動車国道ってナニ?」って聞いてみたんですよ。

そうしたら、現在日本には43の高速道路が規定されているとのこと。

全国にある、〇〇自動車道とか〇〇高速道路って名前のつく道路ですね。

 

テキトーにその一部を抜粋して挙げると…

・東北自動車道

・東京外環自動車道

・中央自動車道

・伊勢湾岸自動車道

・中国自動車道

・高知自動車道

・九州自動車道

・沖縄自動車道

などで、この中でも「高速」と名前が付くのは、

 

・東名高速道路

・新東名高速道路

・名神高速道路

・新名神高速道路

の4つだけです。

トリビア的な知識ですが、高速自動車国道法で決められている本当の(?)高速道路って、実は東名と名神だけなんですね。

 

・・・ここであることに気が付きました。

首都高や阪神高速、名古屋高速の名前がない!

実は高速自動車国道法では、首都高などの都市高速は高速道路じゃないんです!

名前に高速って付いているのに、高速道路じゃないって…。

(いつも渋滞ばかりして低速だから、高速じゃないと言う意味じゃないですよ)

 

じゃ、首都高などはどう言う道路かと言うと、自動車専用道路に分類される道路です。

※この法律上から見た道路の分類も、内容が多岐に渡ってややこしいのでここでは簡素に書きます。

今回は、「自転車で高速道路へ侵入したらどんな罰則になるのか?」ですから、この答えが分かる範囲で内容を省略します。

 

 

自動車専用道路を自転車で通行することは禁止されている

高速道路も自動車専用道路ですが、高速じゃない道路でも自動車専用道路があります。

もう、何を言ってるか分かりませんね(笑)。

早い話が、「高速じゃなくても、自動車専用道路なら自転車や歩行者は通行できません!進入禁止!」ってことです。

入口に「自動車専用道路」の標識があれば当然のことながら、注意書きで「自転車・歩行者は~」と書いてあればダメです。

 

東名や首都高・バイパスでも、入り口には必ずこれらの標識がありますよね?

高速自動車国道法とか考えるとややこしくなりますので、入口に標識があれば自転車はその道路に侵入したらダメなんです。

初めから、こう書けばヨカッタ…。

 

自転車の通行禁止違反は3か月以下の懲役か罰金5万円以下

今回の結論がこれ。

自転車で高速道路など禁止されているところへ侵入すると、通行禁止違反になります。

この通行禁止違反の罰則規定は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です。

 

道路交通法には、こう書かれています。

(通行の禁止等)
第八条 歩行者又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない。
車両には、自転車も含まれます。
 
そして、これに違反した場合の罰則も次のように規定されています。
 

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

一の二 第七条(信号機の信号等に従う義務)、第八条(通行の禁止等)第一項又は第九条(歩行者用道路を通行する車両の義務)の規定に違反した車両等の運転者

 

高速道路など自動車専用道路には、標識などで自転車の侵入が禁止されています。

これに違反すると道路交通法の通行禁止違反となり、3か月以下の懲役or5万円以下罰金刑となるわけですね。

5万円ならまあ…と思えますが、さすがにムショ行きだけは勘弁して欲しいです。

 

過失で違反してしまった場合は罰金10万円に軽減される

冒頭のウーバーイーツの配達員は、高速道路は侵入禁止と知っていて通行したと思われます。

恐らく時間の節約とか、そんな理由でしょう。

しかし中には、知らずについうっかり高速へ侵入してしまう人もいます。

いわゆる「過失」と言われている行為で、悪意がなく法律違反をするつもりはなかったけど注意不足で…ってヤツです。

この場合は懲役刑はなくなり、10万円以下の罰金のみになります。

 

第百十九条

2 過失により前項第一号の二、第二号(第四十三条後段に係る部分を除く。)、第五号、第九号、第九号の三又は第十二号の三の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する。

先ほどの続きとして、道路交通法ではこのように書かれています。

実際にどれぐらい意図的で悪質かは、警察や裁判所の判断によるでしょう。

 

スマホのナビに従っていたら、知らずに高速に侵入してしまったというケースや、首都高の出口と分からずに侵入してしまった、と言う人もいますからね。

子供や認知症のお年寄り、文字が読めない外国人が侵入するケースもあります。

 

本線上だけではなく料金所への自転車での侵入も禁止されている

ちなみに、高速道路って聞くとまさに車が走っている本線をイメージします。

しかし法律上では、料金所に徒歩や自転車で侵入することも禁止されているので注意が必要です。

先日の未払い料金を払いたいから、道を聞きたいから、などの理由があっても、自転車で料金所まで行ってはいけません。

標識が立っている所から先は、侵入禁止(通行禁止)です。

 

【まとめ】自転車で高速へ侵入すると罰則以外の損害賠償を求められる可能性もある

これまで説明した罰則は、道路交通法違反などの刑事罰です。

しかし、罰金5万円ぐらいなら最悪払ってもいいや!って、法律を無視して自転車で高速凸すると、民事上の損害賠償を請求される可能性もあるので注意が必要です。

 

例えば、自転車を保護するために高速を通行止めにしたとか、自転車を避けた車が事故を起こした、とかです。

この場合の損害額は、とてもじゃないですが5万円じゃ済まないでしょう。

下手したら、人生詰む可能性だってあります。

知らずについうっかり侵入…なら、まだ損害賠償を許してもらえるかも知れませんが、故意に高速へ侵入したとなれば、ガッツリ請求されるかもしれないですよ。

線路に入って、電車止めるのと同じレベルです。

 

初めにも言いましたが、自転車で高速道路を走ることはマジで危ないので、近道だからと言う理由で故意に侵入するのは絶対にやめましょう、って言うかヤメロ。

 

車の運転の格言として「だろう運転」ではなく、「かもしれない運転」が推奨されています。

これは、「子供が飛び出して来るかもしれない」と危険予測することが大切で、「多分飛び出してこないだろう」と言う楽観的な考えでの運転は危険と言う意味です。

でも、高速を走行中に「もしかしたら、自転車が走っているかもしれない」と思っているドライバーなんかいません。

「まさか自転車なんか走っていないだろう」と思うのが普通です。

 

↑いくら日本の法律が弱者を守るとは言え、さすがにこれはどうかなって思いますよ。

高速で逆走を避けると聞いて、スリルドライブと言うゲームを思い出しました。

 

危険予測できていない上にスピードを出しているので、自転車が高速を走っていたら撥(は)ねられる可能性大ですね。

・・・とは言っても、実際に撥ねたら逮捕されるのはドライバー側。

なんか、これって理不尽だと思いませんか?