ゴミ屋敷の強制撤去の費用は税金で裁判所(行政)が払う?金額はどれくらい?

2018年7月3日

こんにちは。

ぼ、僕の部屋はキレイですよ・・・(汗)。

 

さて、名古屋でこんなニュースがありましたね。

 

名古屋の“ゴミ屋敷”でゴミの強制撤去開始 大量で3日ほどかかる見通し 住人男性「納得してない」

リンク切れに備えて、テロップも引用しておきます。

名古屋市中区のいわゆる「ゴミ屋敷」で、裁判所が3日朝から住宅に大量にため込まれたゴミなどを撤去する強制執行に乗り出しました。

 住宅には3日午前8時半ごろ、裁判所の職員が到着し、作業員らが段ボールや空き缶などのゴミの撤去を始めました。

 この住宅では10年ほど前から住人の男性(62)が大量のゴミなどをため込んだため、いわゆる「ゴミ屋敷」となり、周辺住民から苦情が相次いでいました。

 このため、住宅の所有者がゴミの撤去や住宅の明け渡しを求め裁判所に提訴。今年1月、請求を認める判決が言い渡されましたが、男性は応じず生活を続けていました。

住人の男性:
「納得はしてないけど、そうなるしかないんだよ。裁判所の決定だから」

 ゴミの撤去は3日ほどかけ行われる予定です。

引用元:ヤフーニュース https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180703-00003924-tokaiv-l23

 

さて、このニュースを読んで気になった点は・・・

・このゴミの撤去費用は誰が払うのか?もしかして税金?

・裁判所の職員が強制執行で撤去作業?

です。

 

この答えは・・・

・ゴミの撤去費用(処分料)は、この住人の男性の負担。

・この場合の強制執行とは、行政代執行法という法律に基づいたもの。

です。

 

ちなみにゴミの処分に発生する金額は、ウン百万円はかかると思います。

こうした分別していないゴミって、処分料がかなり高額になるんですよ。

本当にビックリするぐらいの金額です。

 

今回のケースは、もしかしたら1000万円超えてるかもしれない・・・。

 



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ゴミ屋敷を裁判所が強制撤去した費用は誰が払うの?

今回のケースを簡単にまとめると・・・

 

住人の男性が借家である住宅をゴミ屋敷にした

借家の所有者(大家さん)がゴミを片付けて欲しい、そして住宅を明け渡して欲しいと、男性に再三お願いしたが聞き入れられず。

やむなく大家さん、裁判所に提訴

大家さん勝利!

でも住人の男性、この判決も無視

じゃ、裁判所で強制的にゴミを片付けます

 

ニュースではここまで言ってませんが、おおよそこんな流れだと思います。

で、このゴミの撤去費用は誰が払うのか?

 

もしかして裁判所?

いいえ、それでは住人の男性が

「ラッキー、タダで片付けてもらっちゃった」

になってしまいます。

 

当然、裁判所が片付ける=税金の投入になりますからね。

僕たちからすれば、税金で払うのは許せません!

 

もちろん支払うのは、この住人の男性です。

後日、しっかり裁判所から撤去費用が請求されます。

 

実はこれ、行政代執行法という法律に基づいたものなんですね。

今回の名古屋のゴミ屋敷。

地元ではかなり有名らしく、建物の3階まで積み上げてあったみたいです。

 

裁判所の強制執行って?

この場合の強制執行とは、行政代執行のことです。

ぎょうせい だい しっこう と読みます。

 

興味ない人は、読み飛ばしてもいいと思います。

全くもって日常生活に縁のない法律で、初めて聞く法律っていう人も多いハズ。

 

じゃ、なんでフツーのおっさんの僕が知っているかって?

実は過去に、行政書士の試験を受けようと少しだけ勉強したことがあるんです。

宅建受かったから、次は行政書士かな~って軽いノリでした。

 

いやいやいや、行政書士試験、ゲキムズです。

ナメてました。これは僕の知能ではムリ。

行政訴訟法とか行政不服審査法とか、知らなくても普通に生活できそうな法律ばかりで、覚えるのにとても苦労したからです。

(本当は、時事問題で諦めました 笑)

 

で、前置きが長くなりました。

ここで行政代執行法の説明をうんたらしてもたぶん面白くないと思いますので、できるだけ簡単に書きますね。

 

ニュースで強制執行って言ってますよね。

これは行政代執行のことです。

行政代執行とは、行政上の強制執行のひとつ。

まあ早い話が、国や地方公共団体、つまり今回のような裁判所の指示や命令に従わないでいると、問答無用で裁判所が代わりに強制的にやっちゃうよ、という法律です。

 

行政が強制的に代わりにやるから、行政代執行。

やはりニュースのように、強制執行と思ってもらったほうが分かりやすいかも。

 

今回のゴミ屋敷のケースに、もう一度当てはめてみます。

裁判所から「住人の男性は、ゴミを撤去して住居を明け渡しなさい」と判決が下りました。

当然この男性は、この判決に従わないといけません。

 

でも男性はガン無視。

このままゴミ屋敷を放置しておいたら、近所の住民や大家さんは困ってしまいます。

じゃ、裁判所が代わりにゴミを撤去しちゃうからね。

そのかわり、もちろん処分料は支払ってね。

こうすることで、近所の住民や大家さんの利益(権利)が守られたのです。

 

どうでしょう?

分かりましたでしょうか?

他にも例を挙げてみます。

 

行政代執行法の例

行政代執行の事例を挙げてみます。

 

1960年(昭和35年)に建築された木造平屋建て約65㎡で、4月に敷地内の擁壁が崩落して斜面下の家屋が損壊する被害が発生。

市は特措法に基づき、所有者の市外の50代男性に改善命令を出したが、男性は「資力がない」として応じなかったため、8月に代執行を決定。

今後、擁壁と土砂を取り除く作業を進める。費用約800万円。

引用元:石狩市 行政代執行事例 http://www.city.ishikari.hokkaido.jp/uploaded/attachment/22561.pdf#search=%27%E8%A1%8C%E6%94%BF%E4%BB%A3%E5%9F%B7%E8%A1%8C+%E4%BA%8B%E4%BE%8B%27

 

簡単に言うと・・・

 

ガケの上のある壁が崩れて、ガケ下の他人の家が壊れた。

市「危ないから改善しなさい」と命令。

ガケ上の壁の所有者「お金がないからムリっすわ」

市「じゃ、代わりにやっとくね。800万かかった費用は払ってね」

ガケ上の壁の所有者 ( ̄◇ ̄;)エッ

 

この場合は早急に壁を処置しないと、更にガケ下に被害が及びます。

だから行政代執行に踏み切ったのですね。

けが人が出てからでは遅いです。

 

その他の事例を見ると、やはりゴミ屋敷と倒壊の危険がある空き家の取り壊しが多いです。

過去には、高速道路を造る理由から、立ち退きを強制執行された事例や、公園に住んでいるホームレスの人への強制執行などもあります。

 

こうしてみると、単に命令を無視するだけで即行政代執行となるわけではなく、「周辺への影響が大」と判断された場合が対象になります。

法律用語で言うと「著しく公益に反する」と判断された場合です。

 

また強制執行が突然決定されるわけでもなく、まずは担当者が何度も当事者を訪問して指導や勧告をします。

冒頭のゴミ屋敷の男性も「10年前からゴミを~」ってありますよね。

昨日今日であれだけゴミを溜め込んだわけではありません。

近所の住民や大家さんも、相当我慢していたことでしょう。

 

しかし行政代執行って聞くと、それはちょっとやりすぎでない?って思うかもしれません。

でも再三に渡って指導や勧告をしたのにも関わらず、全く改善されないので強制執行となるわけです。

長い時には、数年間も掛けて訪問することも珍しくはないんですよ。

その末の強制執行なので、これは仕方ないですよね。

 

まとめ

裁判所の判決命令を無視し続けた末の行政代執行。

行政代執行とは、強制執行の一種です。

行政代執行により発生した費用は、当事者負担となります。

 

これはあくまで僕の推測ですが、もしかしたら行政代執行される前に、自分で業者を探して撤去などしたほうが費用が安く済んだかもしれません。

今回のゴミ屋敷の撤去費用はどれぐらい掛かったんでしょうね・・・。

分別していないゴミって、ものすごく処分料が高いですから。

まあ数百万円はいくでしょう。

もちろん裁判所の職員の人件費も取られると思います。

 

追伸

文中に、行政代執行法や行政訴訟法・行政不服審査法は、日常生活に関係ないって書きました。

でも実は、ほとんどの人が目に触れているのです。

(どっちだ?)

 

例えば、住民税などの各種税金の支払通知書や、公立の保育園の保育料の通知などもそうですね。

これらが市町村から届くと思いますが、裏面などをよ~く読んでみて下さい。

 

「この決定に不服がある時は~市長に対して審査請求を~」とか書いてあります。

つまり「この住民税の額に納得できん!」って場合は、市町村などを相手取り裁判をできますよってことなんです。

これは、行政訴訟法や行政不服審査法に基づいた内容です。

 

また最近よく耳にする空き家問題。

2015年に空き家対策特別措置法が施行されました。

 

これってどういう法律か知ってますか?

近年、日本中に増え続けている空き家ですが、ここで紹介したゴミ屋敷や危険な空き家と同様に、行政代執行の対象になるってことです。

 

「あの空き家、壊れそうで危ないな~」

「この空き家も、ゴミだらけで放置じゃん」

「じゃ、行政代執行で取り壊そう」

 

家主が亡くなっている場合は、その相続人へ指導や勧告、費用の負担が行きます。

あなたの実家は大丈夫ですか?

 

大阪市 危険な空き家、強制撤去 死亡や転居で課題に
大阪市が、空き家対策特別措置法に基づき、此花区にある築100年以上の空き家について、行政代執行による初めての強制撤去を始めた。

市内には維持管理が困難な空き家が昨年末時点で約940件あるが、修繕などの改善済みは約350件。

独居老人が政令市で最多の20万人超の大阪市では、死亡や転居に伴う空き家対策が大きな課題になっている。

引用元:毎日新聞  https://mainichi.jp/articles/20180313/k00/00e/040/290000c

 

追々伸

あ、肝心なこと書き忘れました。

この行政代執行により請求された費用は、税金と同じ扱いになります。

住民税や健康保険税などと同じですね。

つまり払えないからといって放置すると、最悪差し押さえなどの処分を食らうことになります。

 

お金がないので命令に従えなかった部分もあるのに、費用を請求されてもね・・・。

その気持ちは分からないこともないですが、これはそういう法律なので支払うしかないですね。

しかも基本的に税金は、自己破産してもチャラにはなりません。

 

しかしこの当事者が、亡くなってしまった場合はどうなるのでしょう?

もちろんそれは相続になりますが、家族が相続を放棄すれば、そこでこの請求された費用は消えてしまいます。

 

つまりここまで来てしまったら、結局は税金を投入したってことになってしまうのです。

「行政代執行により撤去作業を依頼した業者には、先に税金で支払って後から当事者より回収」ですからね。

それが回収できなくなってしまうので・・・。

ゴミ屋敷

Posted by ちたま