カルテの削除依頼したら破棄してもらえるの?保管期限は何年か調べてみた!

今回は「50年前の新生児の取り違え」のニュースから、病院のカルテの保管期限について調べてみました。

まあ、50年間もカルテをよく保管しておいたなっていう、順天堂医院の管理も確かにすごいです。

でも逆に言えば、そんな半世紀にも渡って個人情報を残しておいて欲しくない、っていう意見もあるのも事実。

 

どちらが良い悪いは別として、僕たちが病院に

「保管してあるカルテを削除(破棄)して下さい」

って依頼したら、病院側は素直に削除してくれるのでしょうか?

早速、調べてみました。

 

【先にこの記事の結論】

カルテの削除を依頼しても、病院側はそれに応じる義務はありません。

カルテの保管期限は、最低5年間です。

 



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カルテの削除を依頼しても必ず消してもらえるわけではない

カルテは、正式には「診療録(しんりょうろく)」って言います。

医者にかかると必ず作成されるものですが、いくら治療に必要だとは言えできれば他人には見せたくないもの。

担当医なら仕方ないとしても、看護師さんや他のドクターには不必要に見られたくないと思う人もいると思います。

特に女性特有の病気などは、秘密にしておきたいですよね。

 

そんな個人情報バリバリ記載のカルテですが、残念ながら病院側に削除を依頼しても、必ず消してもらえるわけではありません。

削除するかどうかは、病院側の任意の判断になります。

それでは一体、病院は何年ぐらいカルテを保管しているのでしょうか?

 

カルテの保管期限は最低5年間

実はカルテの保管期限は医師法という法律で決められていて、最低5年間と義務付けられています。

この「最低5年間」というのがミソで、5年を超えて保管してもそれは特に問題にはなりません。

5年経ったら破棄しなければならない、という意味ではありませんので、先日の順天堂医院のように50年間保管することも全然問題ないことになります。

 

尚、この「5年間」という保管期限は、その治療が終わってから5年間です。

現在、治療中の病状のカルテについては、「5年間」のカウントがスタートしていませんので注意して下さい。

 

50年前に新生児取り違えか、相手には伝えず

4/6(金) 21:19配信

 順天堂医院(東京都文京区)を運営する学校法人順天堂は6日、約50年前に同院で新生児の取り違えが起きた可能性が高いと発表した。

 一部週刊誌で報道され、ホームページに経緯を掲載した。発表によると、最近行ったDNA検査で、約50年前に同院で生まれた当事者と、母親の間に遺伝上のつながりがないことが判明した。取り違えが起きた可能性は極めて高いとし、当事者らに謝罪したという。

 過去のカルテで取り違えの相手は絞られたが、現在の平穏な生活を乱す恐れがあるとして、伝えないことにしたという。ただし、本人や家族から問い合わせがあれば対応するとした。

引用元:読売新聞 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180406-00050113-yom-soci

↑カルテが残っていたからこそ、分かった新事実ですが…。

色々と考えさせられます。

 

個人情報保護法で削除依頼できるのは不正取得の場合

う~ん、正直50年間もカルテを残してもらっても、中には「個人情報なので破棄して欲しい」っていう人もいるでしょう。

そこで病院に保管しているカルテの破棄をお願いしたら、病院側はそれに応じなければならないのでしょうか?

 

答えはNOです。

病院は、カルテを削除する必要はありません。

 

え?でもカルテって個人情報だから、個人情報保護法の対象でしょ?

削除請求できるのでは?

確かにこの法律では本人からの請求があれば、その個人情報を開示したり削除したりしなければなりません。

でも、それには条件があるのです。

それは、その個人情報が不正に取得された場合です。

 

つまり病院のカルテで言えば、騙されて診察されたり勝手に診察されるケースなどです

例えば「採血します」と言いながらその血液でDNA鑑定されたり、気分が悪くて寝ていたら勝手にCT撮られたりとか…。

こうした不正な手段で得たカルテの情報は、削除依頼の対象になります。

…まあ、こんなこと実際の病院であるわけないですが。

 

もちろん、重体など命の危険がある時は”勝手に”診察されますが、個人情報どころの話ではないでしょう。生命優先です。

また、医師法により5年間の保管義務がありますので、個人情報保護法よりもこちらが優先されます。

 

精神科のカルテは長期保管される傾向にある

とは言っても、実際にどれぐらいの期間でカルテが破棄されるのか?気になります。

病院ごとにカルテの保管基準は違いますが、どうやら色んな統計を調べたところ、紙カルテの場合は30%ぐらいの病院が5年経ったら破棄しているようです。

中には20年以上も保管している病院もありますが、紙カルテの場合は保管場所に困るため、大きな倉庫などがある病院ほど長期保管する傾向にあるようです。

また、科によっても保管期間に差があり、特に治療が長期になりやすい精神科は、他の科に比べてカルテを長期間保管するようです。

 

電子カルテは半永久的に保管される

最近のお医者さんは、キーボードでカタカタと診察内容をパソコンに入力していますよね。

カルテも紙からデジタルへと、電子化が進んでいるのです。

 

電子カルテのメリットのひとつに、紙に比べて保管がしやすい点が挙げられます。

大きな倉庫などなくても、膨大なカルテを保管することが可能。

つまり電子カルテは紙のカルテと比べて、さらに長期間保管される傾向にあります。

 

また医師会の方針では、電子カルテは破棄せず永久的に保管することが推奨されています。

法律では電子カルテも最低5年間の保管が必要ですが、医師会としてはなるべく破棄しない方針なわけですね。

病院の中には、現在保管している紙カルテをスキャナで取り込んで電子化する病院もありますので、今後はますますカルテは破棄されにくくなります。

 

カルテを早く破棄して欲しい人にとっては、このようなカルテの電子化はもどかしいかもしれません。

しかし、医学は日々進歩しているので、もしかしたら何年も前のカルテが思わぬ治療に役立つ可能性だってあるわけです。

個人情報の管理さえしっかりしていれば、カルテの長期(永久)保存は患者さんにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

 

↑カルテの電子化が普及すれば、数十年前の診察内容も証明することができるメリットがあります。

 

【まとめ】カルテの長期保管は治療に役立つこともある

というわけで、「カルテの情報を消して!」と病院に依頼しても、それを強制させることは難しいです。

保管義務の5年間もあるし、不正に取得した情報ではないからです。

何でもかんでも「個人情報だから」で、削除依頼はできないということですね。

 

もちろん病院側が、削除依頼に応じてくれれば問題ないです。

しかし保管してある莫大なカルテの中から、あなたのカルテを探し出すのはかなりの労力を必要とします。

ただでさえ、病院のスタッフは多忙ですからね。

 

また紙のカルテの場合、その破棄する方法も実は問題になります。

丸めてゴミ箱にポイ!で、あなたは満足できますか?

シュレッダーしても、最低限”クロスカット”しなければ復元もできます。

 

また通常、この様な「機密書類」は「溶解処理」をします。

確実に溶かして処分し、情報が漏れないようにするんですね。

でも、この溶解処理って処理費用が高いんです。

 

それよりも過去のカルテの情報により、あなたの病気の治療に役立つことだって大いにあるわけです。

確かに個人情報がずっと保管されるのはいい気分はしませんが、治療に役立つというメリットの方が大きいと思いませんか?

カルテ

Posted by ちたま