ヤマト運輸の残業代未払い問題は退職者も請求できる?時効は?
労働審判で、残業代数百万円を勝ち取った「管理人だが屋」です。
この手のニュースは、やはり自然と目が行ってしまいます。
それは「ヤマト運輸が230億円の未払い残業代を支払う」ってニュースです。
経験者(?)として、ちょっと記事に書いてみようと思いました。僕も退職してからの請求なので、退職者はどこまでできるのか?気になりますよね。
未払い残業代
なんか、こうして残業代を支払うと「ヤマトってえらい!さすが大手だわ」みたいな声が聞こえてきますが、本来は毎月キチンと支払うものなんです。
払って当然、当たり前、なんです!
今まで散々サービス残業で利益を上げてきたのに、後から支払って「えらい」扱いはおかしいでしょ?
僕の知っている会社は、毎日の残業を正しく計算してキチンと支払ってますよ。これが普通なんです。
今まで「マイナス」のことやっていた会社が、ある意味「ゼロ」になっただけで別にちっともエラくはないです。
褒めるなら、普通のことを普通にやっている会社を褒めましょうよ。
サービス残業で競争に勝つ
競争に勝つのは社員ではありません。会社ですよ、この場合はヤマト。
だって、サービス残業させればその分コストダウンできます。正しく残業代を払っている会社は人件費がかかりますので、その分価格競争には不利に働きます。
乱暴な言い方をすれば「ヤマトはサービス残業で成長してきた」と言われても仕方がないのです。
まあ、運送業なんかどこも同じなんですけどね。これを言ったらおしまいですが。
退職者の請求
さて、退職者の未払い残業代の請求です。僕もこのパターンで裁判を起こしました。
もちろん退職者でも請求はできます。ただ残業を証明するものがどの程度必要なのかは、ヤマトの判断によりますのでここでは割愛します。
裁判で争うなら証拠がポイントになってきますが、今回はヤマトの一応「自主的」な支払いなので、退職者が請求できるかできないかと言われれば「できます」。
時効
実は、この未払い残業代で重要なことを各メディアが伝え忘れています。
それは「時効」です。
ちらっと時効について書いてあるメディアもありますが、まったく書いていないメディアもありますね。
未払い残業代の請求の時効は「2年」です。つまり2年を経過すると、時効により請求する権利が消えてしまいます。
でもこれは法律上の問題であって、別に会社は2年以上前の分を遡って支払っても、もちろんOKなんです。
10年前の残業代を請求されて、それを支払っても問題ないどころかこれが一番正しい対応です。
今回のヤマトも「2年分を支払う」と報道がありました。「2年」を書いていないメディアがありますね。重要なのに。
つまりヤマトは2年以上前の分は、「法律上はもう消えた権利だから (゜⊿゚)シラネ 」ってことなんです。
仮に労働者が裁判を起こして2年前以上の残業代を請求しても、ヤマトは「時効を援用します」と言えば裁判でも負けません。支払わなくていいのです。
ちなみに時効を使う(主張する)ことを「援用する」と言います。
つまり裁判起こされて、ヤマトが負ける部分は自主的?に払うけど、ヤマトが勝つ部分は払いません。時効を主張するからね~」ってことなんです。
どうです?全然「ヤマトはエライね~」じゃないでしょ。
でも本当に労働者のことを思って正しく支払うのなら、記録がある限り遡って支払ったらどうですか?10年前とかまで。
でもそんなことしたら支払総額が1兆円こえて、「タカタ」や「東芝」みたい一撃で会社が傾くと思いますが(笑)。
退職者
で、退職者はどうすればいいかと言うと「1日でも早く請求するべき」なんです。
だって時効が2年なので、どんどん時効で残業代が消えていきますよ。ヤマトは時効になった分まで支払う気はサラサラありませんので。
現在働いていて日々サービス残業をしている人は、常に2年間の未払い残業代がありますが、退職した日から1日1日時効で消えていくわけです。
つまり退職したらすぐに残業代を請求しましょう。時効になってしまったら裁判で争っても負けます。通常、会社が時効の分まで支払うことはまずありえませんので。
ちなみに、僕も過去2年間分のみを請求しました。それ以前の分の証拠も持っていましたが、時効を主張されてしまうことが明白だったからです。
まとめ
ヤマトはえらくないです。マイナスがようやくゼロになっただけです。
未払い残業代の時効は「2年間」です。退職したらすぐに請求しましょう。
ヤマトは時効を主張して、2年以上前の分は支払う気はありません。全然えらくはないです。
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